
■ケーススタディ
"港町・新潟"の「歴史・文化」を自由に楽しく探訪できるミュージアムが
信濃川下流の開港当時の面影を残すエリアに誕生
新潟市歴史博物館 みなとぴあ
3月27日、信濃川の下流左岸に新潟市歴史博物館「みなとぴあ」がオープンした。
新潟市が国の重要文化財である「旧新潟税関庁舎」を中心としたエリアを、"港町・新潟"を表現する「歴史・文化ゾーン」として一体的な整備を進めていたもので、市街にあった歴史的建造物の「旧第四銀行住吉町支店」も敷地内に移築・復原された。
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 信濃川下流左岸に明治・大正・昭和の新潟を代表する建築が並ぶ
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新潟は、1858(安政5)年に結ばれた日米修好通商条約により、神奈川、函館、長崎、兵庫と並んで開港場の一つに選ばれ、旧新潟税関は、関税業務を行なう役所「新潟運上所」として1869(明治2)年に開設された(1873年に新潟税関に名称変更)。『擬洋風建築』の建物は開港当時の姿をいまに伝え、1972年から昨年3月までは、歴史博物館の前身である「新潟市郷土資料館」として利用された。
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(左)●エントランスホールは2層吹抜けで開放的なイメージ (中)●博物館本館の外観は、明治末期に完成した2代目の新潟市役所庁舎をもとにデザイン。敷地内には柳などの植栽を配し、昔の新潟町の風景である堀や柳、木橋などの歴史的景観を取り込んでいる。5代目で学校町通にある現在の市役所庁舎は、はじめて場所を移して新築されたもので、"新潟区役所"をそのまま使った初代から、4代目の庁舎まで西堀前通にあったことから、博物館本館脇の四間堀も西堀をイメージ (右)●新潟市民に新潟の歴史や文化をわかりやすく伝えることを目的に開設。活動には、ボランティアスタッフも参加するなど市民の交流拠点としても展開する |
旧第四銀行住吉町支店は、1927(昭和2)年10月の竣工で、昭和初期の銀行建築に多く見られる古典的な様式の建物。移築・復原が不可能な鉄筋コンクリート部分を除く、石材、青銅飾り、漆喰飾り、板材、照明器具などを対象に取外し作業を実施。特に、正面入口の風除室や営業室のカウンターなどは、大きくばらして搬出。部材一つひとつに当時の技術が備わっていることから、再利用する部材には極力手を加えずに解体することで、部材の保存とともに技術の保存にも心がけた。
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(左)●旧第四銀行住吉町支店の内部には、吹抜けとなった天井の高さを活かして、レストラン「バンク・シーダ」を開設 (中)●営業室のカウンターも創業当時のものに復原し、当時の銀行の荘厳さを強調 (右)●2階には会議室などのほか「日本間」が創業当時から設置されていた |
新築の博物館本館は、1911(明治44)年に完成し、1933(昭和8)年に焼失した「2代目市役所庁舎」を外観モチーフに採用。これにより「明治・大正・昭和期の代表的な建築様式を1か所でみることができる」((財)新潟市芸術文化振興財団 企画普及課 主査・知野学氏)。
博物館本館は、1階に「体験の広場」「情報ライブラリー」「企画展示室」を、2階に「常設展示室」「ミュージアムシアター」「セミナー室」を配置。常設展示室(ミュージアムシアターを含む)および企画展示室の観覧は有料だが、そのほかの施設の利用は無料。常設展示観覧券は1日有効なので何度も自由に出入りができ、疑問を調べに情報ライブラリーへ行ったり、途中でレストランで食事をしたりすることもできる。
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(左)●常設展示を観ていて浮かんだちょっとした"?"を、その場でメモするためのサービス「QTS」を実施。観覧者は"?"が浮かんだら「Qステーション」を探して、"?"を「Qチケット」にメモ。メモした「Qチケット」を持って展示を見続け、展示室を出たら1階の「情報ライブラリー」に向かう (中)●常設展示は「水がつくる」「水がむすぶ」「水にいどむ」「水とともに生きる」の4ゾーンで構成 (右)●ミュージアムシアターには104の客席と4つの車椅子スペースを設置。映像は280インチの大画面スクリーンにハイビジョン映像 |
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(左)●「水にいどむ」では、大河や低湿地の水害に苦しみながら、生活や生産を向上させてきた新潟の人々の努力や知恵を紹介 (右)●常設展示のテーマは「郷土の水の力と人々のあゆみ」。最初に入る円形の部屋には約150型のスクリーンが設置され、「水がつくる」のテーマのもと、信濃川と阿賀野川が海岸砂丘を形成していく過程を映像とジオラマで紹介する |
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(左)●情報ライブラリーには、書庫に所蔵された図書を閲覧するコーナーと、公開データベース「情報潟録」を利用できるPCコーナーを設置。カウンターでは職員が、新潟市の歴史・文化に関する質問を受け付けている (右)●「体験の広場」では、昔の暮らしの道具を使ったり、さまざまな遊びやモノづくりをとおして、昔の人々の知恵や技術を体験できる |
年間来館者数は目標約15万人を見込んでおり、4月1日〜5月19日(3月27〜31日は市民に無料開放)の常設展観覧者数は約2万8000人と好調なスタートを切ったが、「多くの人に来ていただきたいのと同時に、一度お越しになられた方にも何度も足を運んでいただきたい。企画展や収蔵品展を定期的に開催していくのはもちろんのこと、常設展示もさまざまな仕掛けを施しているので、じっくりご覧いただければ新しい発見があると思います」と、学芸員を務める藍野かおり氏。
さらに「展示を観ていただいて感じたことを、情報ライブラリーを使って、自分なりに発見していただくというように、来館した方が何かを発見するお手伝いをしていきたい」(藍野氏)というように、「来館者が体験でき、交流できる施設」(知野氏)を目指している。
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(左)●1869(明治2)年に建てられた旧新潟税関庁舎は、開港5港当時の税関としては、現存する唯一の建物。地元の大工が西洋建築を見よう見まねで造った「擬洋風建築」が特徴で、1969(昭和44)年には、庁舎が国の重要文化財に、敷地は史跡に指定されている (中)●旧新潟税関は1971(昭和46)年に、庁舎を明治2年の竣工当時の姿へ戻す工事が行なわれ、72年から2003(平成15)年3月まで新潟市郷土資料館として利用された。新潟の象徴的な建物として一般に公開されている。 (右)●税関には、信濃川に面して、船の品物を揚げる荷揚げ場の石段が設けられていたが、川側の埋め立てや地盤沈下により、地中に埋もれてしまったため、発掘調査や当時を伝える資料をもとに復原。荷揚げ場の位置が、当時の信濃川の川岸だった |
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(左)●対岸には"21世紀の新潟"を象徴する「朱鷺メッセ」があるなど、信濃川を挟んで対照的なゾーニングとなっている (右)●1926(大正15)年5月に起工し、翌年10月に竣工した旧第四銀行住吉町支店の建物を、文化財的な価値をできるだけ損なわないようにしながら移築・復原。正面入口には4本のイオニア式の列柱が並ぶ。外壁に花崗岩、内部に大理石や漆喰が使われている構造物を解体し、建設地において再び組み立てるということは、現代における建築事業にとっても非常に珍しい事例である |
関連サイト:
新潟市歴史博物館 みなとぴあホームページ
データ 2004年06月現在
| [所在地] |
新潟県新潟市柳島町2-10 |
| [オープン] |
2004年3月27日 |
| [事業主体] |
新潟市 |
| [運営主体] |
(財) 新潟市芸術文化振興財団 |
| [施設内容] |
○博物館本館
常設展示室、企画展示室、情報ライブラリー、体験の広場、ミュージアムシアター、セミナー室
○旧第四銀行住吉町支店
レストラン、展示室
○旧新潟税関庁舎
展示室
○石庫 |
| [敷地面積] |
約22,400m2 |
| [建築面積] |
本館/約2,100m2
旧第四銀行/約530m2 |
| [構造・規模] |
本館/SRC造・地上3階建
旧第四銀行/RC造・地上2階建(一部3階建て) |
| [延床面積] |
本館/約5,500m2
旧第四銀行/約930m2 |
| [開館時間] |
4〜9月/9:30〜18:00
10〜3月/9:30〜17:30
※企画展開催時は博物館本館のみ金曜日は20:00まで開館 |
| [休館日] |
月曜日(月曜日が休日の場合は火曜日)、休日の翌日、年末年始、その他(館内燻蒸期間など) |
| [常設展観覧料] |
一般300円(240円)、高校・大学生200円(160円)、小・中学生100円(80円)
※企画展観覧料は内容により異なる |
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