ケーススタディ

武蔵野の豊かな自然をイメージに“光と水と緑”溢れる
アメニティ空間として生まれ変わる

 
国分寺駅ビルエル専門店街・屋上ガーデンレストラン
ROOF DINING
 

 
 JR中央線・国分寺駅ビルが、このほど全館にわたるリニューアルを終えて9月18日にオープンした。
 同駅ビルは、1989(平成元)年、キーテナントである丸井と、1〜3階の一部と8階を占める「エル専門店街」という構成でオープンし、当初は順調に売上を伸ばしていたが、バブル崩壊とその後の消費不況の影響で低迷を余儀なくされてきた。同時に、他の大型商業施設や郊外への大型店の進出など商環境も大きく変わり、立川など近隣他地域の成長もあって、駅ビルとしてのあり方が改めて問われていたといえる。もっとも、その間も手を拱いていたわけではなく、消費者の変化に合わせた売場の改装や新しいテナントの導入など、丸井、エル専門店街ともに小規模ながらもリフレッシュが図られてきたが、商業施設としての魅力を高めるには至らず、他地域からの誘客はもとより地元客も他地域へ流出する状況に歯止めをかけることはできなかった。
 
 そこで、「原点に回帰して、国分寺を中心とする周辺市域の地元の方々に支持していただける商業施設とすることが必要」(国分寺ターミナルビル(株)代表取締役社長 山内雄策氏)との考え方で、オープン以来はじめて全館に及ぶリニューアルに着手。生活の基本である衣食住のなかでも、とりわけ食と住に重点を置いた計画とした。そのなかで最も大きな改革といえるのが、屋上階だったところに新たに12店舗からなるレストラン街「ROOF DINING」を設けたことである。 山内雄策氏
山内 雄策氏

 
(左)●かつての屋上階がレストラン街「ROOF DINING」に生まれ変わった。フロアの中央に噴水と植栽を配したインドアガーデンが設えられている。リニューアルに合わせて2か所の喫煙所以外は全館禁煙(レストランは分煙だがランチタイムは禁煙)が徹底された
(中)●ピラミッド型のルーフからは太陽光が降り注ぎ、明るく気持ちのいい空間となっている。植栽も四季が感じられるよう、季節に応じて部分的な植え替えを行なっていくという
(右)●エスカレータ脇にもプチガーデンがつくられ、道幅もゆったりととられており、鳥の鳴き声を聞きながら、ちょっとした自然のなかの散策気分を楽しめる。

 
 レストラン街は、以前は8階に位置していたが、これを最も眺望の良い最上階に上げるとともに、周囲に広がる武蔵野の自然との一体感を創出すべく“光と水と緑”というコンセプトのもと、フロアの中央部に噴水や植栽からなるインドアガーデン、またテラスにあたる部分にはアウトドアガーデンを設置するなど「武蔵野の自然環境をビルのなかにイメージとして反映させることで、そのなかで食事を楽しんでいただいたり、ベンチに腰掛けて読書をしていただいたりと、お客さまが自分たちの“庭先”のつもりで過ごしていただける」(山内氏)ような環境演出を目指したという。
 
(左)●噴水には、水が粒状になって上にせり上がっていくように見える演出の仕掛け(ウォーターパール)もあり目を楽しませる。周囲に設けられたベンチには、くつろいだり会話を弾ませる人の姿を多く目にする。
(中)●フロアコンセプトに合わせて各店舗も植栽などで工夫を凝らしたつくりをしている。以前のレストラン街の顔ぶれからは半数が入れ替わり、既存店も新たな業態で出店した
(右)●アウトドアガーデンにも緑が溢れ、季節を感じながらひと時を過ごすことができる

 
 フロア面積3500m2のうち店舗面積は半分程度という点をみてもアメニティの充実に力を入れていることがわかるが、それはトイレにも現われており、多目的室や授乳室などを備え、デザイン的にもスペース的にも快適性と利便性が追求されているのが特色のひとつでもある。
 
明るく清潔感のある空間にデザインされたトイレも注目される。スペース的にもゆとりある広さが確保されている

 
 また、風力発電、太陽光発電を導入するなどエコにも配慮し、地域との共生を進めていくシンボルとしての意味合いももたせている。
 そして、レストラン街が移動したことで8階に、丸井店にあった書籍・CD売場を移設増床して、駅ビルで最大規模の売場面積をもつ書店とし、CD・DVDショップ、カフェなどを含めた「カルチャー&リビング」のフロアとした。
 
(左)・(中)●屋上に設置された風力発電機と太陽光パネル。インドアガーデンに置かれた液晶パネルでそれぞれの発電量を知ることができる
(右)●エル専門店街の入る国分寺駅ビル。今回のリニューアルで地域の新しい顔として再び注目を集めている

 
 一方、キーテナントの丸井は、地下1階フロアだけだった食品売場を1階にまで増床して充実を図ったほか、書籍・CD店舗の跡には、ヘルシー&ビューティや大型電器専門店を誘致し、ヤングからファミリー層への転換を図り「マルイファミリー国分寺」としたことにより、駅ビル全体が地域の人たちの生活に視線を当てたリニューアルとなっている。
 こうして生まれ変わった同施設には、それまで他地域に流出していた客足が戻りつつあり、入館者数は1.5割増、売上も1割増という実績をみせており、地域の人が集う施設として定着していきそうである。
 
 
関連サイト:
  国分寺駅ビル エル専門店街  
 
 

データ 2003年12月現在

[所在地] 東京都国分寺市南町3-20-3
[リニューアルオープン] 2003年9月18日
[事業主体] 国分寺ターミナルビル(株)
[ROOF DINING
 フロア面積]
約3,500m2
[店舗面積] 約1,700m2
[施設内容] 飲食店12店
海鮮料理「海宴丸」、和食「あぶりゃんせ 百千」、洋食「洋食亭ブラームス」、南欧風料理「オリーブハウス」、パスタ・ピッツァ「Piatto Giorno」、卵料理「ラケル」、中国家庭料理「華琳」、とんかつ「いなば和幸」、焼肉「焼肉 山水」、函館らーめん「塩の蔵」、そば割烹・天ぷら「三日月庵」、すし「鮨處八千代」
[営業時間] 屋上ガーデンレストラン街 11:00〜22:00
8Fカルチャー&リビングフロア 10:30〜22:00
(理容室は10:00〜20:30)
1〜3Fファッションフロア 10:30〜20:30


このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。
Copyright 2003 TANSEISHA.co.,ltd.
All right reserved.