ケーススタディ

難波地区再開発の先陣を切って誕生した
"人と都市と自然が共生"する「複合緑化都市」

 
なんばパークス  

 
 大阪・ミナミの南海なんば駅に隣接する12.7haのエリアで進められている「難波再開発計画」のリーディングプロジェクトとなる複合都市施設「なんばパークス」が10月7日にオープンした。
 
 ホークス球団がダイエーに売却され、本拠地を福岡に移したことに伴い閉鎖された大阪球場の跡地を中心に、隣接地を含めて計画された難波同再開発は、南海電気鉄道(株)と大阪スタヂアム興業(株)(1998年に南海電鉄と合併)、(株)高島屋、(株)ニッピ、(株)クボタの主要地権者5社により87年に発足した「難波地区再開発事業研究会」を端緒とする。
 
 なんばパークスは、そのうちの南海電鉄と高島屋の所有地部分約3.7haについて、両者の共同事業として計3期にわたって開発が進められているもので、今回開業したのはその第1期部分。「未来都市なにわ新都」をコンセプトに、“個性ある街づくり”を目指してスタートした同施設は、商業施設とオフィスビルから構成される。
 
(左)●グランドキャニオンをイメージした商業棟の壁面には地層をデザイン。地上1〜8階に“大人の女性”の感性に訴えかける105店舗の高感度な物販・飲食・サービス店舗が展開する
(中)・(右)●なんばパークスの1階は、隣接する「なんばCITY南館」とともに「なんばカーニバルモール」を構成。「ストリートカジュアル」をテーマに、20歳代をメインターゲットにしたカジュアルファッションの専門店が揃う活気溢れるストリートとなっている

 
 商業施設は、「周辺に高島屋があり、なんばCITYがあるというなかで、単純にハコ型の商業施設をもう一つつくるという発想ではなく、建物が密集し緑が少ないなんば地区に緑・水・光の潤いをもたらす都心の杜(オアシス)となるような空間づくりを目指した」(南海電気鉄道(株) 難波・都市営業本部 なんばパークス営業部課長・西尾安弘氏)という。
 
“賑わいのある商業空間づくり”で定評のある建築家ジョン・ジャーディ氏がデザイン協力した段丘状の建物は、各階の屋上に屋上公園「パークスガーデン」を展開している。屋上緑化はヒートアイランド現象の抑制も含めて今日的・社会的な要請ともいえるが、なんばパークスのそれは民間都市開発としてはわが国最大級を誇る。
 
 屋上公園は一般に無料開放されるほか、最上部には貸し菜園も設けられ、会員制により野菜づくりなどが楽しめる。また8階の公園部分に設けられた円形劇場も一般に貸し出し利用してもらうなど、人を重視した参加型のまちづくりがなされている。
 
 商業施設のテナント数は105店舗(物販80店舗、飲食20店舗、サービス5店舗)。テナントのリーシングにあたっては「なんばCITYが4年前のリニューアルでMDを25歳くらいまでのヤングOL層に若返らせたなかで、なんばという商圏が最も弱い30歳前後の“大人の女性”の感性に訴えかけるような店舗を集積した」(なんばパークス営業部 店舗開発マネージャー・内本鉄也氏)という。
 
 特に南海なんば駅からペデストリアンデッキでつながる2階部分は、オープンモールを活かし、大人のグレード感をもった高感度セレクトショップやインポートブランドが路面店感覚で展開するなど、同施設のコンセプトゾーンとなっている。
 
南海なんば駅から続くペデストリアンデッキとつながる2階は、ファッション、ジュエリー、インテリアをはじめ、カフェやベーカリー、フラワーショップなど、なんばパークスを代表するハイクオリティな店舗が並ぶメインストリート。「路面店感覚の街」として、“高感度な大人たち”の街歩きを演出

 
3階は、30歳前後のキャリアOLをメインターゲットに、キャリアファッション、バッグ、アクセサリー、インナーのほか、コスメやリラクセーションゾーンを備えるなど、キャリア女性のオンタイムをコンセプトにする

 
(左)●4階は、30歳前後の男女をメインターゲットに、カジュアルファッション、デニム、アクセサリーなど、ユニセックスをテーマにオフタイムを演出する
(中)●5階は「30歳代女性のお部屋の中の暮らし」をキーワードに、インテリア、グリーン、アロマテラピー、ペット、クッキングスクールなど、都市生活者のさまざまなライフスタイルニーズに応える店舗を配す
(右)●6階の飲食ゾーンは、パークスタワーのオフィスワーカーの利用も視野に、来館客が気軽に利用できるようなラインナップ

 
 6〜8階に展開する飲食店舗は、カジュアルな食事から特別なディナーやパーティもできる、“高感度な大人たち”のさまざまなシーンに対応できるラインナップで、8階には、いまやイタリアンのシェフとして大阪を代表する存在である山根大助氏の「スッド・ポンテベッキオ」が、都心の真ん中の公園の一軒家レストランのような佇まいで展開している。
 
 また7階のフードテーマパーク「大阪ヌードルシティ〜浪花麺だらけ〜」は、ラーメンやうどん、焼きソバなど日本各地の個性的なご当地麺を提供する店舗10軒を集積し、単なる飲食フロアにとどまらないエンターテインメント性を空間とソフトの両面で提供。同施設の集客装置として、シャワー効果を発揮している。
 
7階のフードテーマパーク「大阪ヌードルシティ〜浪花麺だらけ〜」は、南海電鉄と(株)ナムコの共同事業として展開。全国のご当地麺10店舗とミュージアムショップ1店舗で構成
 
 これまでのミナミにはなかった高感度なショップ&レストランの魅力に加え、建物自身の新規性や自然と共生する庭園が高い人気を呼んでおり、オープン1週間の来場者数は約139万人と順調な滑り出しをみせている。
 
 今後は2007年に第2期施設が完成、さらにその先には第3期施設の整備が計画されている。そこでは、今回の建物との一体開発がなされるが、シネマコンプレックスやアミューズメント施設をはじめとした時間消費型のエンターテインメント機能が付加される予定で、ミナミの「新都心」にふさわしい魅力ある複合都市施設としての“街づくり”が期待される。
 
 
(左)●8階の屋外には、200席をもつ円形劇場を設置。週末等には各種イベントを開催する。写真奥はイタリアンレストラン「スッド・ポンテベッキオ」。山根大助氏が手がける「ポンテベッキオ」の4号店となる同店は、専用の庭や個室、バーも備え、160席とポンテベッキオとしては最大の規模を誇る 
(中)●商業棟の屋上部分には、235種類・約4万株の樹木や草花で包まれた屋上公園「パークスガーデン」が段丘状に広がる。公園の面積は約1万m2(第1期開業時約8,000m2)と、民間都市開発としては日本最大級となる 
(右)●なんば初の本格的な高層オフィスビル「パークスタワー」は高さ150m、地上30階建て。最先端のオフィス機能をもつと同時に、眼下に前出の緑溢れるパークスガーデンを見下ろすことができるなど、アメニティ性にも配慮されたつくりとなっている。9月からテナントの一部入居が開始され、オープン時のテナント入居率は約80%。主にIT系や金融系の企業が中心を占めるという

 
関連サイト:
なんばパークス  
 
 

データ 2003年12月現在

[所在地] 大阪市浪速区難波中2-10-70
[オープン] 2003年10月7日
[事業主体] 南海電気鉄道(株)、(株)島屋
[まちづくり] ●監修 (株)日建設計
●デザイン (株)大林組
●デザイン協力 ジャーディ・パートナーシップ・インターナショナル
[設計] ●商業施設 
大林組
●パークスタワー
(株)日建設計
[施工] ●商業施設 
大林組・南海辰村建設・大成建設・熊谷組共同企業体
●パークスタワー
竹中工務店・南海辰村組共同企業体
[敷地面積] 37,179m2
[構造・規模] ●商業施設
S造・一部SRC造・地下4階地上9階建
●パークスタワー
S造・一部SRC造・地下3階地上30階建
[延床面積] 147,000m2(第1期計画)
●商業施設:40,000m2(店舗面積2万4,000m2
●パークスタワー:60,000m2
●ウインズ難波:20,000m2
●全体共用部分:27,000m2
[施設内容] ●商業施設105店舗(物販80店舗/飲食20店舗/サービス5店舗)
●オフィスビル「パークスタワー」
●駐車場約1,250台(施設全体)
[営業時間] 10時〜23時(店舗により異なる)
[総事業費] 600億円(第1期)
[初年度売上目標] 200億円(商業施設部分)
[初年度集客目標] 1,500万人


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