ケーススタディ
かつての機関車区をそのまま活用、
18両の蒸気機関車を保存・展示し、
乗車体験もできる蒸気機関車専門博物館

 
梅小路蒸気機関車館
 

 
 わが国で唯一の蒸気機関車専門の博物館である「梅小路蒸気機関車館」は、鉄道開業100周年記念事業として、1972年、かつて蒸気機関車の基地であった梅小路機関区に開設されたものである。1914年に建設されたという扇形車庫や転車台がそのまま継承され、車庫は機関車展示館として、大正から昭和にかけて活躍した代表的な蒸気機関車16形式18両を保存・展示している。そのうち7両が動態の状態で整備・保存され、1日に3回、展示運転線を運行する「SLスチーム号」(C62・C61・C51)に乗車体験できるほか、30年ぶりに復元されたという日本最小の蒸気機関車「B2010」号のデモンストレーション走行を見ることもできる。蒸気機関車が機関車庫にずらりと並んだ光景も壮観だが、実際に走る姿を目の当たりにし、また、走行後に行なわれる火床整備・給水作業・給炭作業、機関車を動かすために黙々と作業を進める人たちの姿を見られることも、ほかではできない体験であろう。
 
「ここには、蒸気機関車だけでなく、それを運行可能な状態に復元したり、保守・整備できる技術と人材も揃っているのです」(梅小路蒸気機関車館 副課長・学芸員・安岡孝雄氏)  JR山口線を走る「SLやまぐち号」や北陸本線の「SL北びわこ号」も、こうした人たちの力に支えられて、ここから現地へと向かっていくのである。
 また、97年のリニューアルに伴って同館に移築された、わが国最古の木造駅舎「旧二条駅舎」(京都市指定有形文化財)も、貴重な文化遺産であるというだけでなく、かつて鉄道が旅の主役であった時代の堂々たる存在感を感じさせてくれる。
 ここは現在、同館の顔としてエントランスの役割を果たすとともに、資料展示館として利用されている。C11の実物カットモデルや映像、修繕具や機関士の携行品といった実物資料を駆使した展示で、蒸気機関車の歴史や走る仕組みなど、蒸気機関車にまつわるさまざまな知識を学べる内容になっている。
 
 
(左)●往復1km、約10分間の実物乗車体験ができる「SLスチーム号」は、1日3回、定時に運転。94年に第11回全国緑化フェアの会場の一部となったのを契機に、体験乗車が開始された。客車(トロッコ)は、「花と緑の博覧会」の際に復元されたものを使用
(右)●日本最小の蒸気機関車B2010号のデモ運転を見ようと多くの人が集まってくる。車庫から出た機関車が転車台で方向を変えるところも見ることができる

 
(左)●走行した機関車から溜まった煤を取り出す。こうした地道な作業によって機関車の走行が支えられていることを知るのも、学ぶべきことのひとつだ
(右)●機関車庫と転車台を中心に伸びる線路。実際に活躍していた頃の、そのままの姿がここにある

 
(左)●移築された旧二条駅舎の内部。この空間に身を置くだけでも、時代のロマンを感じるほどの雰囲気を備えている
(中)●駅舎は資料展示館として活用。投炭技術を高めるための投炭練習機や、C11の実物カットモデルなど、さまざまな角度から蒸気機関車について知ることができる展示になっている
(右)●館のエントランスともなっている旧二条駅舎。この背後に梅小路運転区の扇形車庫、転車台、運転線が広がっている

 
関連サイト:梅小路蒸気機関車館
 

データ 2003年9月現在

[所在地] 京都市下京区観喜寺町
[連絡先] 075-314-2996
[オープン] 1972年10月10日
[事業主体] 西日本旅客鉄道(株)
[運営主体] 西日本旅客鉄道(株)が(財)交通文化振興財団に運営委託
[敷地面積] 4万3,000m2
[建築面積] 4,946m2
[施設内容] 資料展示館(旧二条駅舎)、機関車展示館(扇型車庫)、転車台、展示運転線、ちびっこ広場、休憩所(売店)、客車休憩所、ミュージアムショップ
[開館時間] 9:30〜17:00(入館は16:30まで)
[入館料] 大人(高校生以上)400円、小人(4際以上)100円
15名以上の団体は2割引
SLスチーム号乗車料金:大人200円、小人100円
[休館日] 毎週月曜(祝日および3/25〜4/7、7/21〜8/31は開館)、年末年始(12/29〜1/3)

 


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