ケーススタディ

 
鉄道の素晴らしさを体感できる展示施設が
レトロの街・門司港に誕生

 
九州鉄道記念館
 

 
“学んで、遊んで、鉄道のすべてがわかる”九州鉄道記念館が8月9日、北九州市の門司港レトロ地区にオープンした。鉄道史料の散逸防止と門司港レトロ観光の活性化を目的に九州旅客鉄道(株)(JR九州)が整備したもので、資料展示等により鉄道文化の発信を行なう赤レンガ本館と実物車両を展示する車両展示場、ミニ列車で運転を体験できるミニ鉄道公園で構成されている。
 
 本館は、九州鉄道の本社屋として1891(明治24)年に建てられた赤レンガ造りの建物を活用。1階は、中央の吹抜け部に明治時代に九州で製作された木造客車のほか、811系の運転台で運転操作ができる運転シミュレーターやJR九州を代表する列車を映像とナレーションで解説するパノラマ鉄道模型等を配置。2階には、鉄道の歴史や文化をテーマにした常設展示コーナー・企画展示コーナーや情報コーナーなどを設けている。
 
 
(左)●九州鉄道会社→帝国鉄道庁→鉄道院→鉄道省→日本国有鉄道→JR九州と引き継がれた、100年を超える歴史をもつ事務所ビルを展示施設に転用するため、鉄骨による補強など大掛かりな補修工事が施された
(中)●九州鉄道記念館の「本館」。門司港レトロ地区に位置することから、1891(明治24)年に建築された九州鉄道会社(通称・赤レンガ)の本社屋の躯体を活用し、景観の保護に努めた
(右)●1909(明治42)年に製作された木造客車を記念館のメインシンボルとして展示。乗客や車掌、弁当売りの人形と音声の演出により、当時の旅の情景を演出する

 
 
 屋外の車両展示場には、戦前に製造され、いまでは国内で唯一原形をとどめる機械式気動車「キハ0741」や、世界初の寝台特急「月光」クハネ581-8、「にちりん」のヘッドマークを付けたボンネット特急クハ481-603など、九州各地で活躍した歴代の8車両を展示。ホームと屋根を設け、3両限定ではあるが、車両内を自由に見学できるようにした。
 しかし開館翌日の10日になり、「キハ0741」の木製の窓枠が歪んだり、運転席のクラッチが折れかかるなどの破損が発見されたほか、「月光」の寝台が降ろされて収容不能になったり、使用禁止の「にちりん」のトイレが使用されるなどの被害が発生した。このため同館では、11日から車内公開を一時中止して故障箇所の修復を行なうとともに、車両公開についての今後の方針について検討を重ねた。
「痛々しい車両は見せたくないので、車両内の公開は行なわないようにすることも考えましたが、『教育という観点からも車両内を見せる必要がある』と考えており、公開を続けることに決めました。日本の文化財産です。大事にしてください」(九州鉄道記念館事業課長・楠林規子氏)。
 同館では、破損箇所の修復と並行して破損防止対策を施すとともに、国鉄OBに説明役としてボランティアで車両展示場に常駐してもらうようにし、8月23日から車両公開を再開している。
 お盆休みと重なったこともあるが、オープン後10日間(8月8日〜17日)の入場者数は約4万人と、同館は好調な滑り出しを示している。昔を懐かしむ中高年層から、ミニ鉄道公園で列車の運転を楽しむ子どもまで、幅広い層の支持を受けており、リピーターも多い。
 
「お母さまがたから『子どもが楽しめる施設なので、また来たいと思います』と声をかけていただくと、本当に嬉しいですね。これからも飽きることのない施設づくりを進めていきたいと思います。できれば、列車に関するワークショップなども手がけてみたい」(楠林氏)と意気軒昂である。
 
 
(左)●本館2階では、さまざまな鉄道資料を展示。床に2か所設けられた覗き窓からは、1階にある九州を舞台とした「九州の鉄道大パノラマ」でHOゲージのパノラマ鉄道模型が走る様子を伺える
(中)●「車両展示場」には、準鉄道記念物の蒸気機関車「C59 1」をはじめ、関門トンネル内で使用された電気機関車「EF10 35」、筑豊炭田から門司港に石炭を運んだ石炭専用貨車「セラ1239」など、JR小倉工場や各地の公園などで展示保存されていた九州にゆかりの深い車両8両を現役当時の姿に修復し、展示・公開している
(右)●「ミニ鉄道公園」では、「つばめ」や「かもめ」など九州を走っている列車を模した5つのミニ列車を運転することができる(1台につき1回300円)。レール幅450mmの鉄道で、単線と複線の線路に信号機が置かれるなど本格的な設備で、本物の列車と同じような運転体験を楽しめる

 
(左)●九州における鉄道の歴史は、1889(明治22)年12月の博多〜千歳川(現・久留米)間の開通がその始まり。門司駅(現・門司港駅)は1891(同24)年4月に開業し、九州鉄道の基点となる。中央ゲート前に復元された初代0哩標が示すように、1914(大正3)年に現在地に移転するまで、門司駅はこの地にあった
 
(右)●1914(大正3)年の建築当時の姿をそのまま残す現在の門司港駅。ネオ・ルネサンス様式の木造駅舎で、1988(昭和63)年に鉄道駅舎としては、はじめて国の重要文化財に指定された

 
関連サイト: 九州鉄道記念館
 

データ 2003年9月現在

[所在地] 北九州市門司区清滝2-3-29
[オープン] 2003年8月9日
[所有者] 九州旅客鉄道(株)(土地・建物および展示物)
[運営主体] 北九州市(北九州市と九州旅客鉄道との間で無料貸借契約を締結し、公の施設として管理運営)
[敷地面積] 7,781.48m2
[延床面積] 2,942.42m2
[構造・規模] レンガ造、地上2階建て
[施設内容] ●本館
明治時代の客車、運転シミュレーター、九州の鉄道大パノラマ、常設展示、企画展示、情報コーナー、キッズルーム、ショップ「ゼロマイル」、カフェ「汽車ポッポ」
●車両展示場(長さ約180m)
蒸気機関車2台、電気機関車2台、機械式気動車1台、特急電車1台、寝台特急電車1台、石炭車1台
●ミニ鉄道公園(1周約130m)
ミニ列車5台
[開館時間] 9:00〜17:00
[入館料] 大人300(240)円、4歳以上中学生以下150(120)円
( )内は30人以上の団体料金
[年間集客目標] 20万人

 


このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。
Copyright 2003 TANSEISHA.co.,ltd.
All right reserved.