ケーススタディ

 
鉄道を中心に陸・海・空等の分野も網羅した
82年の歴史をもつ乗り物の総合博物館

 
交通博物館
 
 

 
 交通博物館は、1921(大正10)年に鉄道省(現国土交通省)が、鉄道開業50年記念として東京駅北口の高架下に開館した「鉄道博物館」が前身となっている。1936年に旧万世橋駅跡地に移転、その後46年に、鉄道だけでなく自動車、船舶、航空なども含めた総合的な交通知識の普及を目指す博物館としてリニューアルされ、48年に現在の名称へと改称されて今日に至っている。
 
 4階建ての施設は、鉄道、船舶、自動車、飛行機、人力の交通など、フロアごとのテーマに沿って実物車両や模型とその解説という形で展示がなされており、屋外にも実物車両が保存展示されている。
 現在、館内に展示されている資料だけでも約2000点を数え、博物館が保管している資料は全体で約24万9900点という膨大な量に及ぶという。前身が鉄道博物館だったことから、鉄道関係の資料がそのうちの約7割を占めており、なかでも1号機関車、初代1号御料車、鉄道古文書は重要文化財に指定されているなど、貴重なものも数多い。ほかにも現在では入手困難な資料が多数所蔵されているため、調査・研究に訪れる人も多い。また、博物館法に基づく博物館相当施設である同館は、特別展示の開催や学芸員講習も受け入れるなど、教育普及活動も積極的に行なっている。
 
「現在の交通博物館は、1936年の建物を使い、一部増築していますが、この間に膨大な資料が蓄えられており、それを展示する場所もなくなりつつあります。また、交通関係の博物館としては日本最古の施設で歴史もあり、古くから体験型の可動展示物等を他館に先がけて採り入れています。国鉄分割の際、JR西日本に移管された大阪弁天町の交通科学博物館、京都の梅小路蒸気機関車館は姉妹館であり、当館が礎になっていますが、現在ではそれぞれが特色をもった独自の運営を行なっています。鉄道を含む交通機関は、私たちの生活に密接な関係をもっており、ややもすると子供じみて当たり前に思いがちな部門ですが、以外に基本的知識が知られていないところが多く、これらをアピールしていきたい」(同館学芸部門担当課長・相馬智博氏)
 
 
(左)●交通博物館全景。1936年に建築されたもので、当時としては斬新な建築としてドイツのバウハウスでも評価された傑作。写真左のL字型の建物は、1952年に増築された別館
(中)●吹抜け部分にはベル47Dヘリコプターや蒸気機関車等が展示され、館内展示に立体感を生み出している
(右)●国鉄バスの第1号車(写真左)や、大江戸線開通に伴い廃止されたバス路線の「万世橋」停留所標識(実物)が展示されている2階「日本のバスのあゆみ」コーナー

 
(左)●別館の下部に屋外展示されている北海道の幌内鉄道で活躍した蒸気機関車「弁慶号」。「善光号」「開拓使号」とともに、鉄道記念物に指定されている
(中)●「模型鉄道パノラマ」は、来場者の人気コーナーのひとつ。定時になると、係員が各路線にユニークな解説を加えて操作する。背景は経年による劣化のため色あせていたが、今年3月に40年ぶりに描き直された
(右)●車両だけでなく、辰野金吾氏が設計した東京中央停車場(現・東京駅)の駅舎パースや、1872(明治5)年に開業した新橋停車場の模型など、模型や図面を展示して鉄道開業当時の様子を伝える

 
(左)●航空のコーナーでは、飛行機模型のほか、プロペラ、エンジンなど歴代の実物が展示されている。写真中央は終戦間際に登場した戦闘機「疾風」に使用された当時の最新鋭エンジン「ハ-45型(誉)」
(右)●2階の船舶の歴史コーナー。細部まで精巧につくり込まれた模型を数陳されており、船が発明され発達した経過を、多くの模型によって学ぶことができる

 
関連サイト: 交通博物館
 

データ 2003年9月現在

[所在地] 東京都千代田区神田須田町1-25
[オープン] 1921年10月14日
[運営主体] (財)交通文化振興財団
[敷地面積] 5,023m2
[建物面積] 7,554m2
[施設内容] ●1階 展示室(鉄道部門)
模型鉄道パノラマ、機関車、旅客車、信号機、シミュレータ、御料車、記念品コーナーなど
●1階 屋外展示
新幹線0系先頭部、D51形蒸気機関車先頭部、善光号機関車、弁慶号機関車、開拓使号客車
●2階 展示室(船舶、自動車部門)
船舶模型、自動車、各種エンジンなど
●3階 展示室(航空、あすの交通、人力の交通部門)
アンリ・ファルマン機、航空乗務員の制服、各種エンジン、部品類、ジャンボジェット機の実物大客室、リニアモーターカー模型、駕籠、人力車、輪タク、ミショー式自転車、映画ホールなど
●4階 図書室、休憩室
●別館 休憩室、売店、遊戯機器
[入館料] 大人310円/小人(4才〜中学生まで)150円
[休館日] 月曜日(国民の祝日・振替休日の場合は開館し、翌日休館)
[開館時間] 9時30分〜17時(入館は16時30分まで)
[特別開館] 1/3〜7、春休み期間、ゴールデンウィーク、夏休み期間、都民の日、鉄道旬間(10/11〜20)

 


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