ケーススタディ 
リニューアルにより、
ハンズオンを中心とした
参加体験型博物館へと生まれ変わる

 
地下鉄博物館
 

 
 東京都江戸川区にある地下鉄博物館は、東京の地下鉄の普及と理解を目的とし、営団地下鉄東西線葛西駅の高架線下に1986年に開館した施設である。耐震補強のための橋脚工事に伴いリニューアルし、2003年6月1日にオープンした。
 
 ゾーニングや展示内容の大幅な変更はないが、難解になりがちな地下鉄の地下構造や掘削方法などの説明は、トンネルを模したモニターで解説つきの映像を放映。日頃一般の人の目に触れることのない総合指令所の仕事については、実際の指令所を模したコーナーで、クイズ形式で緊急事態に対応するという、指令員の擬似体験ができる。各路線の概略の解説なども引出しを開けると解説パネルが現われるというように、ワンアクションを加えることで興味を引く仕組みとするなど、随所に好奇心を喚起するような工夫が盛り込まれている。
 
 車両展示は、改装前にも展示されていた日本最初の地下鉄電車・銀座線の1001号車に加え、最新技術と赤い車体の色で開通当時革新的だった丸の内線301号車を新たに導入、どちらも車内に入れるようにした。また、営団で実際に使用しているリアルタイムの地下鉄東西線の列車走行情報を、館内のモニターにも配信するといったリアリティを実感できる展示もある。
 展示を歴史的視点からだけでなく、“体験すること”を通して、身近な存在である地下鉄がどのような仕組みで生活のなかで生きているのか、親しみとともに理解を深めてもらう体験型施設へと生まれ変わっている。
 
 同館では開館以来、学芸員による研究活動にも力を入れており、資料の保存がリニューアルにも役立った。決して大きくはないが、保存館・展示館ではなく、「博物館」に恥じない内容になっている。
 
 
(左)●新たに導入された丸の内線300形車両。エントランスを入った正面に位置しており、入館者に大きなインパクトを与える。博物館の外からもガラス越しに見えるため、広告塔としての効果もある
(中)●地下鉄の掘削方法を音声と映像で説明するコーナー。3D映像になっており、モニターの前に置かれた専用スコープでみると迫力ある映像が飛びこんでくる
(右)●「総合指令所」のコーナーでは、緊急事態が起きたというストーリーのもと、問題に対処するというシミュレーション体験ができる

 
(左)●「日本と世界の地下鉄」のコーナーでは、以前パネル展示されていた情報をデータベース化し、タッチパネルで検索できるようにした。情報量も増加し、「日本の地下鉄」は動画も見ることができる
(中)●既存のメトロパノラマを内部から見られるように、子どもが入れるくらいの透明のトンネルを設けた。以前も人気コーナーだったが、新しい視点を加えたことで、より一層子どもたちの興味を引いている
(右)●「地下鉄車両のしくみ」のコーナーには、1938(昭和13)年11月18日に青山六丁目(現・表参道)―虎ノ門間で開業(翌年1月に新橋―渋谷間が開通)した「東京高速鉄道」の100型車両を使用した展示も置かれている

 
関連サイト:地下鉄博物館
 

データ 2003年9月現在

[所在地] 東京都江戸川区東葛西6-3-1
[リニューアル
オープン]
2003年6月1日
[事業主体] (財)メトロ文化財団
[敷地面積] 3,762m2
[建築面積] 3,566m2
[延床面積] 3,535m2
[開館時間] 10:00〜17:00
休館日:毎週月曜(ただし祝日・振替休日と重なる場合は、その翌日)、および12/31、1/1
[入場料] 大人210円、満4歳以上中学生まで100円

 


このページに掲載の内容、写真などの転用をお断りします。
Copyright 2003 TANSEISHA.co.,ltd.
All right reserved.