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■ケーススタディ 業務・商業・文化・居住の多機能都市基盤整備を図りつつ 優れた都市環境の構築も目指した再開発プロジェクト 汐留シオサイト 現在、新橋・銀座と隣接する旧国鉄汐留貨物駅跡地から、浜松町駅に至る約31haという広大な敷地を対象とした土地区画整理事業による大規模開発プロジェクト、いわゆる汐留再開発が進められている。 JR線、営団地下鉄線、都営大江戸線、新交通ゆりかもめといった交通網の結節点であり、北側に新橋・銀座という業務・商業地区を、また東から南側にかけては浜離宮庭園や旧芝離宮恩賜庭園といった緑と文化の香りを残した独特の環境をもつ汐留シオサイトでは、その独自のポジショニングを活かしながら、業務・商業・文化・居住といった多彩な都市機能が高度に融合した空間形成が目指されている。 ![]() 上のマップにみるように、JR線の西側を既成市街地の共同ビル化と既存機能の向上、東側を街区形成により複合的な機能の集積を図ることを基本に、エリア全体が5区・11街区に分かれ、それぞれに随時開発が進められている状況にある。 すでに昨年には、A街区で電通本社ビルとカレッタ汐留、B街区で松下電工東京本社ビルと本号でも紹介している汐留シティセンター、旧新橋停車場などがオープンしており、今夏にはC街区の日本テレビタワー、鹿島棟に入居するホテル、ロイヤルパーク汐留タワーのオープンを控えている(一部は営業開始済み)など、徐々に街としての顔を整えつつある。 また、大江戸線とゆりかもめの汐留駅の開業をはじめ、新橋駅との地下通路での連結、道路網の新たな整備に加えて、歩行者のためのペデストリアンデッキの確保など、地下レベルと地上レベルでの一体的な動線ネットワークが整備されつつある。 2006年のプロジェクト完成時には就業人口6万1,000人、居住人口6,000人の街が誕生することになるが、都市空間の高度利用と機能の集積というだけにとどまらず、街としての快適性、安全性といった環境面も重視されているのがシオサイトの特色のひとつでもある。公共施設整備面で、歩道の素材やデザイン、数十種類にも及ぶといわれる植栽による緑溢れる空間づくり、イベントの開催も可能な幅員をもつ地下通路等々、そこに住み、働く人はもとより、訪れる人にとって快適な街であることを目指して、グレードの高い環境整備が行なわれているのである。 土地区画整理事業にあたっては、従前からの居住者である宅地所有者および借地権者に東京都、港区を特別会員として加えた「汐留地区街づくり協議会」が組織され、具体的な街づくりのあり方、将来像について議論が交わされながら進められてきた。そして、「街ができ上がってからが本当の街づくり」という理念から、有限責任中間法人「汐留シオサイト・タウン・マネジメント」という新会社を設立、よりよい街へと成長させていくために公共施設全体の維持管理に努めていくことになっている。そして、汐留の中だけで完結するのではなく、銀座や新橋など周辺の地域とも連携を図りながら、21世紀の東京を代表する街へと進化していくことが期待されているのである。
![]() 誰もが安心、快適に過ごせる街を 将来にわたってつくり上げていく 大塚 明 氏 / 東京都汐留土地区画整理審議会委員 汐留地区対策協議会 汐留地区街づくり協議会会長
大塚 日本の場合、建物ができると街づくりは終わったと考える傾向があるようですが、私は、むしろでき上がってからが街づくりだと思っています。とくに公共施設は行政だけでは限界がありますから、私たちの手できちんと管理していくべきだということで、アメリカのBID方式を取り入れ、都と事業者、私どもも資金を入れて、将来に向けて街を維持管理していくための中間法人、汐留シオサイト・タウン・マネジメントを設立しました。 これまでも日本全国で街づくりがテーマパークのように行なわれてきましたが、結局のところ誰も行かない街になっている。それを教訓として、そこに住む人、事業者が一緒になって街を維持・管理し、木が生長するように街も成長していく。そういう仕組みをつくらないと本当の街づくりにはなりません。
大塚 はい。私どもの目指している街づくりの基本は“公園都市”です。いまの日本の都市には緑が非常に少ないんですね。ですから、緑の量をできるだけ多くしたい。歩道をはじめ敷地内に緑を相当量配置して、同時に歩道はプロムナード的に曲線をもたせながら、それに合わせて植栽を考えていきました。地下道の奥にも花壇を設けていますし、高木、中木、低木とたくさんの種類の木を植えています。街というのは時代や成熟度に合わせて変化していくものですから、どう変えていくかをその時々で考えていくのが街づくり協議会の役割です。特区が実現すれば理想的ですが、当面は中間法人が費用負担をしながら、街に来られる方々も含めて快適で、安全で、安心できる街でありつづけること。地味ですけれども、それが街づくりにとって最も大切なことです。けっして派手に建物を建て替えていくようなことではありません。
大塚 もともと“まち”というのは自分たちで管理し、慈しみ、守っていくのが基本です。汐留の街づくりにおいても同じで、日本のいいところ、あるいは世界の都市のいいところをどんどん取り入れていこうと考えています。
大塚 そのとおりです。公共施設面だけでなく、私ども地権者で設立した管理運営会社「チッタ・イタリア」が中心になって西街区内にイタリア街をつくろうと計画しています。といってもブランドショップやレストランを集めようというのではなく、イタリア郊外の小さな街をイメージし、イタリア文化そのものをもって来ようという考え方です。街並みデザインも建物も、ミラノの大学教授に監修していただいて統一を図っていきます。旧新橋停車場もそうですが、近代的なビルばかりが立ち並ぶのではなく、もっといろいろなものが混在していることで街の魅力というのも生まれてくると思います。
大塚 そうです。自分たちの街のことだけを考えていてはいけません。ここに巨大な街が誕生することで周辺にもいろいろな影響があります。道路の混雑や電波障害、風害といったマイナス面もあるでしょうから、そうしたことにもきちんと対応していかなければなりませんし、一方で銀座や新橋という立派な街が近くにあるわけですから、そうしたところとの共存共栄を進めていかなければなりません。近い将来には新橋・銀座・汐留で協議会をつくり、協力し連携していかなければいい街づくりにはならないと思います。
(聞き手) (株)丹青社 執行役員営業開発室長 斉藤幹雄
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