ケーススタディ

 
「超高層によるコンパクトな都市づくり」をひとつの解答とする
東京の都市変化を世界のスケールの中で捉えなおし、
東京が今後進むべき方向性を検証

 
六本木ヒルズ
オープニング展覧会「世界都市〜都市は世界へ〜」

 

 
 民間主導の都市再開発プロジェクトとしては国内最大規模を誇る「六本木ヒルズ」が2003年4月25日にグランドオープンを迎えた。
 約400人の共同事業者が10年の歳月をかけて実現した再開発プロジェクトの区域面積は約11.6で、東京ドームの約8倍にあたるが、「住む、働く、遊ぶ、憩う、学ぶ、創る」といった多様な機能が複合した魅力ある街づくりを実施。同プロジェクトを推進した森ビル(株)では「六本木ヒルズをひとつのモデルとして、コンパクトシティが生み出す空間的、時間的、そして精神的にもゆとりある都市生活を提案していきたい」としている。
 
 “文化都心”を標榜する同プロジェクトの中核施設となるのが、地区中央に建つ超高層ビル「六本木ヒルズ森タワー」の最上層5フロアに展開する「森アーツセンター」である。その森アーツセンター内の52F、53Fギャラリーで、六本木ヒルズのオープンを記念した展覧会「世界都市〜都市は空へ〜」が4月25日から開催されている。同展覧会は“21世紀の都市づくり”をテーマに、ロンドン、パリ、フランクフルト、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク、上海、そして東京の世界8都市の高層化の事例を、都市模型や写真、映像等を通じて紹介するという、世界でも例がない大規模な都市の比較展である。
 
「ヨーロッパ・アメリカ・アジアについて、“世界都市”といわれる、活力を持った都市が、いかにコンパクトで高層化を目指した都市づくりを標榜しているかを紹介した。歴史的背景や都市構造の異なる都市を同時に比較するとともに、1990年代以降の東京の都市環境についての変化を示し現在の東京が持つ課題を明らかにして、東京が今後、国際競争力を持ったアジアの代表的な都市として成長していくためにはどのようなグランドデザインを描けばよいかを検証している」(森ビル(株)六本木ヒルズ運営本部オープニングエキジビションプロジェクトチームプロジェクトリーダー・矢部俊男氏)。
 
 展示のなかでとくに目をひくのが、1/1000スケールの東京とニューヨークの都市模型である。建物の一つひとつについて写真を撮って、正確に再現しており、撮影した写真点数は数万枚に上るという。制作期間は数か月間とタイトであったが、中国・大連に協力工場を確保し、短期間での制作を実現したという。
 
 “アカデミックとエンターテインメントの融合”をコンセプトとする同展覧会では、さらに、関連企画として、“東京をスキャンする”をコンセプトとした東京の空撮映像『東京スキャン』(監修・演出 映画監督・押井守氏)を上映している。「東京」をテーマにした3つの映像フィルムをハイビジョンプロジェクターと大型スクリーンにより上映する「東京シアター」と、六本木ヒルズがどのように計画され、再開発されたのかを、模型や映像、年表などにより、計画開始からの17年間の歴史を紹介する「メイキング・オブ・六本木ヒルズ」を同時開催している。
 
 これらの展示を通じて「高層化を選択した世界の都市の姿を見ていただき、東京の現在の現状を見ていただいたうえで、その東京に対して森ビルはこうしましたというメッセージとしての六本木ヒルズの開発を示した」(矢部氏)としており、その意味では「六本木ヒルズ自体が展覧会の会場」なのである。
 
(左)●東京の新たなランドマークとなる「六本木ヒルズ森タワー」。約11.6haの六本木ヒルズ内には世界各国のアーティストたちの作品が点在
(中)●六本木ヒルズのグランドオープンを記念した「世界都市〜都市は空へ〜」は、幅広い層に都市について興味を持ってもらうことを狙いとする
(右)●1/1,000スケールで制作された8×10mの東京都市模型は山手線内側エリアをほぼカバー

 
(左)●1/1,000スケールのニューヨークの都市模型は初公開。数万枚の写真をもとに、一つひとつの建物を精密に再現
(中)・(右)●「メイキング・オブ・六本木ヒルズ」では、六本木ヒルズ開発の17年の歴史を1/200スケールの模型や映像などで紹介

 
(左)●「東京」テーマにした3つの映像フィルムを上映する「東京シアター」。押井守氏が監修・演出した『東京スキャン』は迫力ある空撮映像により、“世界都市・東京”の新しい一面を体験できる
 
(右)●毛利庭園からレジデンスを望む。大規模な共同開発にすることでゆとりある緑地とオープンスペースを確保し、快適な都市環境を形成

 
関連サイト: 六本木ヒルズ (http://www.roppongihills.com/)
 

データ 2003年6月現在

[所在地] 東京都港区六本木6-10-1
[オープン] 2003年4月25日
[事業主体] 六本木六丁目地区市街地再開発組合、森ビル(株)
[施工区域面積] 約11.6ha
[建築敷地面積] 約8万9,400m2
[延床面積] 約75万9,100m2
[施設内容] ●ハリウッドビューティプラザ(S・SRC・RC造・地下3階地上12階建、延床面積2万4,800m2)
●六本木ヒルズ森タワー(S・SRC・RC造・地下6階地上54階建、延床面積37万9,500m2)
●グランドハイアット東京(S・SRC・RC造・地下2階地上21階建、延床面積6万9,000m2)
●けやき坂コンプレックス(S・SRC・RC造・地下3階地上7階建、延床面積2万3,700m2)
●テレビ朝日(S・SRC・RC造・地下3階地上8階建、延床面積7万3,700m2)
●六本木ヒルズレジデンス(述床面積14万9,800m2)
○A棟(S・SRC・RC造・地下2階地上6階建)
○B棟(S・SRC・RC造・地下2階地上43階建)
○C棟(S・SRC・RC造・地下2階地上43階建)
○D棟(S・SRC・RC造・地下2階地上18階建)
●けやき坂テラス(RC造・地下1階地上6階建、延床面積6,900m2)
●妙経寺(RC造・地下1階地上2階建、延床面積500m2)
●備蓄倉庫他(RC造・地下1階地上2階建、延床面積400m2)
[総事業費] 2,700億円

世界都市〜都市は空へ〜
[会期] 2003年4月25日〜9月21日
[開催時間] 9:00〜22:00(入場は21:30まで)
[入場料] 一般 1,500円 学生 1,000円 子ども(4歳〜中学生)500円

 


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