ケーススタディ

JR東日本と市の共同事業により実現した
「萬画の国」行きのマンガ列車
 
マンガッタンライナー
 

 
 仙台市の中心部に位置するあおば通駅と宮城県の北東部地域を代表する風光明媚な石巻市の石巻駅を結ぶJR仙石線に2003年3月22日、「サイボーグ009」など漫画家の故・石ノ森章太郎氏の代表的キャラクターが車体に描かれたマンガ列車が運行を開始した。
 
 石巻市では「石巻マンガランド構想」を打ち出し、マンガの魅力を活かした街づくりを推進。01年7月には、その中核施設として、石ノ森氏のマンガの世界を堪能できる「石ノ森萬画館」(以下、萬画館)を中瀬地区に開設しているが、こうした動きに合わせ、東日本旅客鉄道(株)(JR東日本)仙台支社では、山手線で使われていた205系車両が仙石線に投入されることになったのを機に、市との共同事業として、205系の一編成を石ノ森作品のキャラクターで飾った特別快速列車「マンガッタンライナー」として運行し、石巻の街おこしと仙石線の活性化を図ることにした。
 
旧北上川に河口近くの中州に着陸した宇宙船をイメージさせる「石ノ森萬画館」
 列車は4両編成で、仙台方面から順に、「サイボーグ009」「仮面ライダー」「秘密戦隊ゴレンジャー」「がんばれロボコン」で車両をラッピング、また、車内にも「さるとびエッちゃん」や「ホテル」の藤堂マネージャーといった石ノ森キャラクターのシルエットで飾っている。
 

 
マンガ列車の愛称は公募により決定された。マンガッタンというのは、現在、石ノ森萬画館が建っている中瀬を石ノ森氏が、ニューヨークのマンハッタンに似ているとして名付けたもの
 また、マンガッタンライナーの運行開始に合わせ石巻駅では、改札口脇にサイボーグ009・001・003と仮面ライダー、駅正面窓上部にサイボーグ002のモニュメントを設置、駅舎正面入口のガラス窓に石ノ森キャラクターを描いたシールを貼りステンドグラス調にしたほか、駅構内待合室のコインロッカーも石ノ森氏の自画像のイラストでラッピング。コインロッカーは、あおば通駅や仙台駅のものにも石ノ森キャラクターのラッピングを施し、マンガッタンライナーおよび萬画館のPRを図っている。
 
 マンガ列車の増設については「様子を見て考えていきたい」(東日本旅客鉄道(株)仙台支社企画部長 坪田卓哉氏)とのことで、当面は一編成のみの運行となるが、今後もフランソワーズ・アルヌール(サイボーグ003)の喫茶店やマンガ図書館などを石巻駅に設置していくなど、「石巻駅全体を萬画館関連のものにしていき、石巻のマンガを活かした街づくりに協力していきたい」(同)考えである。
 
 
(左)・(中)●列車内も、天井やトイレの壁など、あちらこちらに石ノ森キャラクターのシルエットが描かれている。 トイレを設置した車両の座席は、通常はクロスシートだが、通勤時間帯はロングシートになる「2WAYシート」を導入
 
(右)●車体を飾るキャラクターには、数多い石ノ森作品の中から代表的かつメジャーで、大人にも子どもにも受け入れやすい4作品を選定。 大人には懐かしく、子どもには新鮮に映るキャラクターを動的に配置した。4号車の「がんばれロボコン」は憎めないキャラが大人気で、車内放送もロボコンの声(声優の山本圭子さん)で行なわれる
 
(左)●石巻駅も「萬画の国」の玄関口らしく変身。サイボーグ002が空を飛ぶ。同駅は、「乗車証明書」と「萬画の国・いしのまき入国証」を発行
(中)・(右)●石巻駅の改札口周辺などに設置された「サイボーグ009・003・001」と「仮面ライダー」のモニュメントは“動き”のあるデザインが特徴
 
「サイボーグ009」「人造人間キカイダー」など“石ノ森章太郎の世界”を再現した常設展示室と企画展示室からなる「石ノ森ワールド展示エリア」のほか、「くつろぎ・交流エリア」(入場無料)、「学習・体験エリア」(同)で構成する
 
©石森章太郎プロ/ショウプロジェクト

 
マンガ列車を企画した
 
坪田 卓哉氏/東日本旅客鉄道(株)仙台支社企画部長
 
坪田氏
 首都圏にE231系新車が投入される玉突きで山手線205系が仙石線に回ってくることが決まり、 仙石線を利用されるお客さまの10年来の要望であったトイレを設置できるようになりました。
そのことを、いまから2年くらい前に石巻市の市長さんにお話したときに、 石巻市はマンガで街おこしをしていきたいということでした。 205系を石巻線に投入するにあたっては、その機会に2WAYシート(注1)を導入した 観光ラッピング列車を走らせるなどの仙石線を盛り上げる計画を考えていましたので、 そういうことならサイボーグ009などを列車に貼ったらいいのではないかと考えたのが、マンガ列車の発端です。
 
「マンガッタンライナー」として運転しているのは土・日祝日の1往復だけですが、 平日も通常の列車として運行しています。 ただ、平日は車両運用上、ローテーションしていくので、走る時間帯は日ごとに変わっていきます。 JRとしては、マンガ列車に限らず、「みちのく駅おこし」や「会津ぐるっとカード」(注2)、 「サイクルトレイン」(注3)など、今後も地域と連携してさまざまな企画を展開し、 街おこしや観光の活性化に取り組んでいきたいと思います。

 
注1 ロングシートとクロスシートを切替ボタンで変換できるシート
注2 会津広域観光の推進、公共交通活性化のための割引サービスカード
注3 柴田町(宮城県南部)と連携し、列車内に自転車を直接持ち込む「サイクルトレイン(一目千本桜号)」をお花見の時期に運行
 
 
関連サイト: マンガッタンネット
 

データ 2003年6月現在

[運転区間] JR仙石線あおば通駅−石巻駅(途中停車駅:仙台駅、多賀城駅、本塩釜駅、松島海岸駅、高城町駅、野蒜駅、矢本駅)
[事業主体] 東日本旅客鉄道(株)仙台支社
[連絡先] TEL.022-266-9601 仙台支社総務部企画室
[オープン] 2003年3月22日
[列車編成] 205系4両編成(1号車:サイボーグ009、2号車:仮面ライダー、3号車:秘密戦隊ゴレンジャー、4号車:がんばれロボコン)
[運転日] 土・日祝日(平日は普通列車として運転)
[ダイヤ] あおば通駅発8:52→石巻駅着9:47
石巻駅発14:13→あおば通駅着15:08
[総事業費] 500万円


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